岐阜県建築士会 ぎふ木造塾 部会

公益社団法人岐阜県建築士会 ぎふ木造塾 部会
岐阜県建築士会公式HPはこちら

2025年度

HOME2025年度

2025年度 ぎふ木造塾部会 講演会

講演テーマ:災害からま学ぶ木造「どこまでできる?」

開催日時 :2025年12月20日(土)13:45~17:50

開催場所 :OKBふれあい会館 301中会議室

参加者数 :56名(うち学生4名)

講師   :清水 秀丸 様(椙山女学園大学 講師)

      須田 達  様(金沢工業大学 教授)

      安井 昇  様(桜設計集団一級建築士事務所 代表)

      村瀬 賢一 様(村瀬建築株式会社 代表取締役)

      成瀬 幸一 様(株式会社成瀬建築 代表取締役)

 

 令和7年度ぎふ木造塾部会の第2回目の木造建築設計研修は「講演会」の企画とし、岐阜県木材協同組合連合会共催で岐阜県からの委託事業として開催されました。講演会のテーマは”災害から学ぶ木造「どこまでできる?」”とし、全3部構成にて5名の講師をお招きして各専門分野の講演をいただきました。近年多発する大規模災害、とりわけ能登半島地震などの災害事例を通じて、現場調査や復興活動の経験から木造建築の耐震性・防火性、そして復興・復旧における可能性について理解を深めることを目的としました。また専門分野の異なる講師の先生方による座談会をメインイベントとし、技術的な知識の共有に加え、建築に携わる者としての考え方や姿勢を共有できればとの思いで主催させていただきました。

 

会長挨拶_1024.jpg 2e85142c4251c85e038446768410f3e681dc5bf5.jpg

  岐阜県建築士会 石黒会長の挨拶        岐阜県林政部 奥田様の挨拶

 

 第1部「震災から学ぶ耐震」では、金沢工業大学の須田達先生が能登半島地震の被災状況と調査結果について報告され、建物被害の特徴や耐震性能の重要性、また調査の結果を将来につなげていく事の大切さを解説されました。続いて椙山女学園大学の清水秀丸先生は、岐阜での大地震が発生した場合の被害想定を示され、地域特性に基づく防災対策”知って備える”の必要性について説明されました。

 第2部「火災から学ぶ防災」では、桜設計集団一級事務所の安井昇先生が、木造建築の耐火技術や火災から命を守る工夫について具体的事例を交えて紹介され、火災のメカニズムを知ることが防火対策には必要だと解説されました。

 第3部「能登災害からの復興」では、村瀬建築株式会社の村瀬賢一講師と株式会社成瀬建築の成瀬幸一講師が、能登地震の復興事業に従事した経験をもとに、復旧の現状と震災現場での課題について、また被災建物から見える木の特性を見極める事の重要性について報告されました。

 

清水先生_1024.jpg 安井先生_1024.jpg

    清水先生・須田先生の講演             安井先生の講演

 

 座談会「どこまでできる?木造」では、清水先生を進行役として5名の講師が参加者アンケートをもとに議論を展開しました。単なる技術的解説にとどまらず、講師それぞれが建築に向き合う姿勢や思いを語り、参加者も食い入るように耳を傾けていたのが印象的でした。話題としては、技術を通じて持続可能で災害に強い木造建築のあり方を考える「未来に向けた木造建築」の可能性や、人命や地域の安全を第一に考える「命を守る建築」の重要性、また災害後も安心して暮らせる環境を支える「地域や暮らしに寄り添う木造建築」のあり方、さらに迅速な復興と質の確保の両立という「災害後の復興における責任」、伝統や経験、知見を技術に生かす「技術と経験の融合」等々、木造建築の役割や価値を改めて考えるきっかけになったのではと思います。

 

村瀬先生_1024.jpg 座談会1_1024.jpg

    村瀬講師・成瀬浩志の講演          講師の先生方による座談会

 

 今回の講演会は、一度に講師5名の講義を聞くことができた事、その後の座談会でより深堀りされたお話と同時に、建築に対する思いをお聞きできた事も含め、内容の濃い講演会となったのではと思います。月間ウッドミックの杉浦様の取材もあり「いい記事が書けます!」と言っていただきました。講師の方々には特に持ち時間の短い中、講義をまとめていただき感謝いたします。また、多数の方々にご参加いただき誠にありがとうございました。

 

全景1_1024.jpg

       講演会の様子

 

参加者アンケートの紹介

 ・耐震方法や防火方法を学べて意義のある講演でした。

 ・壊れ方や燃え方を知ることが重要だと分かりました。

 ・実験データや映像で確認できてわかりやすかった。

 ・短時間で様々な分野の話が聞けてよかった。

 ・講義と座談会の組み合わせがよかった。

 ・耐震補強の方法やリフォームについて知りたい。

 ・伝統建築の改修のあり方を話題にしてほしい。

 ・学術的な話から実務の話まで幅広く聞けてよかった。

 ・学校では学べないことを学べたのでよかった。

 

 その他、たくさんのご意見をいただきました。

 

 

 令和8年度も木造を楽しく学べる事業を計画しています。岐阜県建築士会のホームページ等にてお知らせいたしますので興味のある方、是非ご参加をお待ちしております。

ぎふ木造塾部会員一同

続きを読む

2025年度 ぎふ木造塾 無料日帰りバスツアー

愛知(豊田・知立方面~名古屋港)木造建築設計研修

 

日時  :2025年11月29日(土)7:45~18:30

開催場所:株式会社FUJI ”THANK(知立の寺子屋)”見学⇒豊田市美術館にて”講演会 株式会社翠豊

     今井隆介氏”⇒”豊田市博物館・豊田市美術館”自由見学⇒”中国木材株式会社 名古屋営

     業所”見学

参加者 :41名(うち学生6名)

 

DSC_2424.JPG

  THANK(知立の寺子屋)で記念撮影

 

 令和7年度ぎふ木造塾の木造建築設計研修は、岐阜県木材協同組合連合会共催で岐阜県からの委託を受けて開催しています。今回は建物見学会と講師を招いた講演会を同時に行うプログラムとし、より中大規模木造の理解を深めるものとして計画しました。それに加えて、担い手育成の観点から学生の参加を多く募ろうと考え、参加費軽減のため、昼食を各自でご用意頂く自由食にして参加費を無料にしました。

 募集当初は定員45名に対して、それを上回る申込を頂きましたが、開催日が近づいてくると体調不良などの欠席者が相次ぎ、当日は41名での見学会ツアーとなりました。

 

 天気は快晴、時間通りに岐阜駅を8:00に出発し、内田部会長から参加者の皆さんにご挨拶をさせて頂き、続いてぎふ木造塾部会員が自己紹介を行いました。企画担当からこの建築ツアー参加についての注意事項と行程についてご説明頂き、司会より建築士会の活動についての紹介、また各委員会の方々からもご挨拶を頂き、バスの中で交流を図りました。途中予定のなかったトイレ休憩をはさみましたが、交通渋滞も無く予定時間より20分も早くバス駐車場のファミリーマート知立本町店に到着しました。そこでトイレ休憩を取り、5分程歩いて目的地の隣地公園から建物の外観を見学しました。

 

【株式会社FUJI THANK(知立の寺子屋)】

 旧東海道でもあった道路側から見ると、「低い平入りの屋根」は周辺に溶け込むような静かな外観でありながら、隣地公園側から見た妻側は、最高高さ12mから2.5mほどの低い軒先までの曲線屋根が、まるでジェットコースターのレールを目で追うようなダイナミックなものでした。

 自然科学の最も基底的な原理である重力が決定するかたち=カテナリー曲線に即した屋根に社寺の様な反り屋根の佇まいを感じました。しばらく自由に外観を見学した後、お迎え頂いた株式会社FUJIの神谷さんと細井さんと参加者の皆さんで建物を背景に記念撮影をし、その後、予定時間を前倒しして建物内部を見学させて頂きました。

 

KIMG20251129_094008639.jpg PXL_20251129_005634322_1280.jpg

  "THANK(知立の寺子屋)” 外部見学中     ”THANK(知立の寺子屋)” 内部にて説明中

 

 見学先の”THANK(知立の寺子屋)”は、アフタースクールとカフェの複合施設です。今回はアフタースクールエリアを見学させて頂きました。当時、建築プロジェクトを担当されていた細井亘さんから設計コンペの建築家選定から建物竣工までの流れをお聞きしました、2本の鳥居状の鉄骨の棟木に架けられた市松模様に組まれた短冊状の木材は約1,300個、一つも同じものは無いそうで職人による現場の施行力の高さに一同驚愕しました。その後、内部を自由に見学しながら、参加者が個別に当時の担当者であった細井さんに質問していて、この建物に対する興味の高さが伺えました。

 実際、階段の手摺の納まりや雨天時の雨水放流先、構造材についてなど、写真や図面を見るだけでは伝わってこない、現地に赴き身をおいてみないと気づけない点も多く、大変貴重な時間を頂きました。

 オーナーである株式会社FUJIは電子実装機械の世界シェアNo.1を誇る地元の企業です。地域交流にもご尽力されており、今回もぎふ木造塾の建築ツアーにご賛同頂き、公共建築物でもなく、隣接する商業施設を利用するわけでもない、建築士会の集まりで言わば畑違いの団体にご厚意で建物を見学させて頂いた事は感謝に堪えません。また到着時刻が早かったために予定した時間より多くの時間を見学させて頂く事になり、大変お世話になりました。

 

 10:45対処予定時刻となり、隣地公園に向かい点呼を取り、まとまって駐車場へ向かいました。

 コンビニでトイレ休憩を取ってから、11:00に出発し、次の目的地へ向かいました。

 バスの移動中、部会員の古田さんからこれから講演して頂く株式会社翠豊の会社案内を見ながら、木造に対する企業理念などを説明してもらい、自然と講演会への期待が高まります。

 

 到着予定時間より20分早く豊田市博物館・豊田市美術館の駐車場に到着。その流れで講演会の開始時間を30分程早めて11:50から開催しました。

 

【講演会 講師:株式会社翠豊 今井隆介氏】

 トイレ休憩をはさみ、12:00に講演会が始まりました。

 講師の今井氏からプロジェクターにて、株式会社翠豊による高度な技術力と施工力による複雑な木架構の過去施工例をいくつか紹介して頂きました。大阪万博のパビリオンや有名建築家と組んでお仕事をされた講師の話を皆さん興味深く拝聴していました。また豊田市博物館の柱・梁の木材切り出しから施工までの流れ、特に梁・柱の接合部や一見すると複雑なパターンの規則性についてお話頂いたり、柱の太い幹から枝が伸びていくに従って細くなるデザインは、木材を知り尽くし、様々な工法に対応できる高い加工・技術・施工力の賜物であると感嘆しました。講演後、各自で博物館に赴き、実際にお話のあった博物館の1/5を締める”えんにち空間”を見学しました。写真では伝わらない、スケールの大きな柱と梁によって支持されている天井高さ9mの南北を抜ける大空間に大規模木造の可能性と魅力を感じました。参加された学生の方にも木造でも他構造に劣らない大空間が可能なのだと感じ取ってもらえたのではないかと思います。

 

KIMG20251129_115229240.JPG PXL_20251129_050112252_1280.jpg

   講師の"株式会社翠豊 今井隆介氏"          ”えんにち空間”

 

 また、2時間程の自由時間内に昼食(自由食)をお好きな場所で摂って頂きました。

 美術館と博物館の敷地内には、歴史的な木造建築も多く、それらを見て回るには丸1日掛かりそうな内容でしたが、今回は2時間という時間的制約があり、優先個所を絞って駆け足で見て回らなければなりませんでした。そんな中でも参加者の皆さんには集合時間に遅れる事なくお集まり頂き、ご協力頂けました。

 

 15:00予定通りに美術館駐車場を出発し、次の見学先に向かいました。

 

 移動中のバスの中で、司会者の進行により提出頂いた事前アンケートを元に参加者同士の交流を図りました。設計士・大工・施工者・木材加工者など、木材に携わる方々とこれからの担い手である学生との交流は、とても有意義なものでした。様々な立場からの視点は、お互いに木造を新たに据え直す良い気づきの機会となりました。他ではあまり機会がない世代を超えた交流は、この建築ツアーの魅力の一つだと思います。そして、色々な人の魅力を引き出す事のできる名司会者の村瀬さんに依る所も大きかったと思います。移動時間60分があっという間に過ぎていき、15:50に中国木材株式会社 名古屋事業所に到着しました。

 

【中国木材株式会社 名古屋事業所】

 研修室に案内して頂き、参加者全員で会社概要の説明を受けました。中国木材さんの”中国”とは広島に本社をおく中国地方から由来している日本企業だという事も分かりました。その後、参加者は二手に分かれ、プレカット工場の見学と名古屋事業所の建物見学を交代でそれぞれ行いました。

 プレカット工場では社員の中西さんから各部材の加工についてのご説明を受けました。木材の乾燥に力を入れられており、変形の少ない自社商品を開発されているとの事でした。木の持っているクセを見定めて適宜、部材に加工したり、木材の上と下を間違って加工してしまうと全てやり直しになる事もお聞きしました。参加者の中でも木材の上と下を見抜ける人、そうでない人、見抜けるようになるには10年掛かったなど、参加者同士で話が弾みます。ご好意で集成材の木端を頂ける事になり、希望者が記念に持ち帰りました。

 

KIMG20251129_155909628.JPG PXL_20251129_072232765_1280.jpg

     研修室で説明を受ける            プレカット工場で説明中

 

 名古屋事業所の建物見学では、建物に使われた自社製品の構造材解説パネルがあり、参加者が熱心に見入っていました。

 こちらの屋根構造の特徴は、"小断面木材にプレストレスを導入した半自碇式の吊屋根構造であり、支持条件をピン・ローラーで設置すると曲線を描くことで自己釣り合い系の構造システムのなるそうですが、”完全な吊り構造としても成立可能な設計”にもなっているそうです。また、”長期荷重等の下向き鉛直荷重に対しては安定”していても風荷重による吹き上げには、屋根自重の軽さのため弱く、吊り屋根の上端に部分的に鉄板を入れて煽り止め的なものがなされているそうですが、一見では吊屋根の構造が伺い知れず、2階テラスの外部に出て興味深く構造を確かめる参加者が多く見受けられました。

 

DSC_2444.JPG KIMG20251129_163757362.JPG

  ”中国木材株式会社 名古屋事業所”外観       吊屋根構造が分かる2階テラス

 

 また、見学先の中国木材は、発注者でもありますが、木材納入、プレカット加工の請負業者でもあるため、自社製品がふんだんに使われており、それらを使って「吊屋根」「金物接合によるフレーム構造」「積木壁」という3通りの工法によって空間が構成されており、木造建築の可能性を示すような建物でした。

 

 17:00予定通りに中国木材を出発して、美しい夕景をバスの中で楽しみながら岐路へ着きました。

 

 バスの中では、引き続き司会進行により、アンケートの質問に答える形で参加者同士の交流が図られました。

 中でも木造在来工法の95%がプレカット加工になる中、残り5%の従来のやり方で木材を自らの手で刻み、仕口加工する大工さんの木に対するお話は、普段は直接木と接する事のない設計士にとっては、感慨深いものとなりました。今回訪れた3つの見学先の建物もそうですが、御講演頂いた株式会社翠豊さんによる革新的な木工法に施工例も、現場の大工職人の手による細やかな技術力と高い施工力があって成り立つものとお聞きしました。職人ならではの技は大切に継承されていくべきものだと改めて思いました。

 

 18:30に岐阜駅に到着。

 復路アンケートを回収して、解散となりました。

 

 今回、怪我や事故等無く、無事にツアーが終えれた事、至らない点もあったと思いますが参加者の皆様には、ツアーの運行にあたりご協力頂き大変感謝しております。

 またツアーを引き受けて下さった見学先の皆様には、休日であるにも関わらずお時間を割いて頂き、本当にありがとうございました。お陰さまでとても有意義なものとなりました。頂いたこの機会を糧にさらに精進してまいりたいと思います。

 

 次回、ぎふ木造塾では、2025年12月20日(土)に講演会”災害から学ぶ木造「どこまでできる?”を予定しております。聴き応えのある内容となっておりますので、是非ご参加下さい。

 

ぎふ木造塾部会員一同

続きを読む
1
岐阜県建築士会 ぎふ木造塾 部会
TEL:058-215-9361
FAX:058-215-9367
E-mail:info@gifukenchikushikai.or.jp