岐阜県建築士会 まちづくり委員会

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ぎふHM 2023年度

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令和5年度 HM 第7日目

テーマ:世界・日本遺産、文化的景観、民俗・無形文化財について、

    記念物(史跡・名勝・天然記念物・埋蔵文化財)について(講義)

    文化財(建造物)登録の実務について(講義)

    「私たちの見つけた登録文化財」の発表について(講義)

日時 :令和5年8月19日(土) 13:00~17:10

場所 :ワークプラザ岐阜 4階

参加者:22名

 

世界・日本遺産、文化的景観、民俗・無形文化財について、記念物(史跡・名勝・天然記念物・埋蔵文化財)について(講義)

 岐阜県文化伝承課 伝統文化財 主査 川瀬健秀氏 に講義して頂きました。

 

川瀬健秀氏の講義風景

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 前半は、「世界遺産、民俗・無形文化財、記念物(史跡・名勝・天然記念物)、重要文化的景観、埋蔵文化財、日本遺産」について、今までの講義の復習になる基本的な説明から始まりました。平成7年に世界遺産に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が、三つの集落を内包する「シリアル資産」であり、その景観を守る為に、「緩衝地帯(バッファゾーン)」の設定があり、厳しく開発が制限されている緩衝地帯Ⅰ種、ある程度の開発制限が有る緩衝地帯Ⅱ種の指定があることを知りました。又、その面積が、遺産面積に対して、Ⅰ種で60倍以上、Ⅱ種では800倍以上の面積を有していることを説明して頂きました。「白川郷・五箇山の合掌造り集落」を維持するために制定された住民憲章や、伝統的互助システム「結」などの特徴を説明頂き、同時に課題として、オーバーツーリズムによる交通渋滞や、地域の少子高齢化の急激な進行により、住民憲章の堅持が今後困難となる可能性がある事、放水銃等の防火設備の老朽化等の設備投資の負担など、今後対処すべき問題点を説明頂き、世界遺産だからと言って、維持し続ける事の難しさを知りました。

 今回は、有形文化財以外の無形文化財、民俗文化財についても講義して頂き、その地域の「風俗風習や民俗芸能」など、地域が担い受け継いできた生活の中にこそ、意識して後世に伝承しなければならない文化が有る事について教えて頂き、それらが有形文化財(建築物、美術工芸品)の存在に繋がることも、学びました。

 

川瀬健秀氏の講義風景

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 川瀬氏の講義の後半は、「記念物」「文化的景観」「日本遺産」等の概要について、講義頂きました。

 「記念物」には、「史跡」「名勝」「天然記念物」「登録記念物」が有り、「史跡」には、縄文・弥生・古墳・古代・中世・近世、各時代を反映したそれぞれの史跡が有り、「名勝」には、木曽川などの自然名勝や、永保寺庭園などの人工名勝が有る事を学びました。

 「文化的景観」とは、地域における人々の生活、生業、及び、当該地域の風土により形成された景観で、生活・生業を理解するために欠くことが出来ないものである事。又、「日本遺産」は、文化財保護法による文化財の体系図に含まれていないが、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーとして、文化庁が認定するものである事。岐阜県にも正法寺(岐阜大仏)など、4件が認定されていることを学びました。

 「埋蔵文化財」は、文化財保護法による文化財の体系図に記載がありますが、文字のごとく埋蔵されているもので、保護される文化財であるが、先の文化財の体系図のツリーには繋がらず、独立している事を学びました。

 

文化財登録の実務について(講義)

 あいちヘリテージマネージャー 後藤文俊氏 に講義して頂きました。

 

後藤文俊氏の講義風景

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 第4日目に続き、あいちヘリテージ協議会のかたに講義をして頂きました。

 前回の復習を兼ね、登録候補の選定から、登録有形文化財登録まで、タイムスケージュールに沿った流れを説明頂き、その後、後藤氏がヘリテージマネージャー養成講座を受講した際「私の見つけた登録文化財」の課題で、後に、実際に登録有形文化財に登録となった「野間郵便局旧局舎」の実例を使って講義して頂きました。本講習同様に、5~6人のグループに分かれ行った課題の実例で、選定から講義発表までの流れ、更に、本登録までの流れ、登録後の活用等、大変貴重な実例の資料と話を聞くことが出来ました。

 建物の調査は、物理的な調査のみならず、その歴史を含めて調査を行う大切さや、建物のみでなく、地域の歴史と建物の関りも同様に調査することで、登録有形文化財登録の条件の一つである「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に対する所見に反映することが出来るなど、本講座の課題に対する取り組み方法のアドバイスを受ける事が出来ました。又、登録申請の際、撮り直しとなった書類添付写真と、修正後の写真を併せて表示して貰い、今後の資料添付用の写真撮影方法の一助となりました。

 課題発表終了後、建物所有者に同意が得られれば「登録候補物件」として登録に進めたいとの意思を伝え、所有者を説得する際に、登録有形文化財の優遇措置を説明するなどのアプローチの仕方をお聞きしました。更に、登録後の建物保存会の設立や、地域のイベントの開催などの、利用活動についても、話を聞くことが出来ました。

 

「私たちの見つけた見つけた登録文化財」の発表について(講義)

 「私たちの見つけた登録文化財」の発表について

  ぎふヘリテージマネージャー協議会 桂川麻里氏

 「登録文化財(建造物)意見具申資料」の作成について

  ぎふヘリテージマネージャー協議会 田中伸裕氏 

 

桂川麻里氏・田中伸裕氏の講義風景

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 本講座最終課題の「私たちの見つけた登録文化財」の発表について、昨年度の講座に於いて使用した発表資料を用い、実演して頂きました。

 パワーポイントの作成内容や、発表の流れ、時間配分はもとより、注意すべき資料の内容や、調査すべき事項などを知ることが出来ました。又、役所などの調査先では、煙たがられ、対応が厳しかったことなど、経験者でしか語れないことをお聞きすることが出来ました。

 発表の内容の建物は、建築関係者が知っている人が多いとは言えない物件で、改めて埋もれている文化財が各地に点在していることと、それらが滅却しつつ在る現状に、考えさせられました。

 次に、本講座で課題として提出する「登録文化財(建造物)意見具申資料」について、昨年度の講座での資料を使い、記載内容や、作成に関する注意事項を説明して頂きました。

 これは、表紙、所見、建物概要、特徴、評価等の文書による書類、添付図面、写真帳、など、実際に登録有形文化財を申請する際に提出する書類です。文書書類はA4用紙で2頁位に収めるのが望ましいため、対象物の魅力・歴史背景、建物の特徴をいかに簡潔、且つ正確に伝えるかが重要であり、資料の収集と吟味が大切である事を学びました。