令和7年度(2025)活動報告
見学会「願興寺本堂」

日 時:令和7年9月2日(火)
10:00~12:00
会 場:願興寺
住所:岐阜県可児郡御嵩町御嵩1377-1
参加者:8名

【プログラム】
9:45 集合⇒移動
10:00~11:00 願興寺 見学会
11:00~11:30 霊宝殿拝観
11:30~12:00 名鉄 御嵩駅 見学
12:00~12:30 御嵩を散策
12:30~13:30 ランチ ※古民家かしわ屋
13:30~15:00 第3回例会
見学会 ~文化財の魅力を体感しよう~
報告者:松村久美子
1.願興寺本堂 保存修理現場
旧中山道御嵩宿にある願興寺は「蟹薬師(かにやくし)」の名で親しまれ、広く民衆の崇敬を集めてきた国指定重要文化財です。
本堂は998年に創建され、これまでに2度焼失。現在の建物は1581年に再建されたもので過去に10回ほどの修理が行われてきましたが今回のように全てを解体して行う保存修理は初めてとのことです。
修理工事は2026年12月の完了を目指し約10年の長期計画で進行中です。見学では屋根の野地板の取り付けが完了した段階の様子を足場の上から間近に見ることができました。修理工事では可能な限り既存の部材を再利用する方針がとられており、野地板も表面と裏面を部位に応じて使い分けるなど、丁寧な工夫がされていました。
ご案内いただいたのは設計監理事務所(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)の内山所長です。文化財建造物の保存に携わる専門家から、直接解説を伺える貴重な機会となりました。本堂の柱には他に例がない、欅、椋、杉、松、樅、榎、楓、桂、桧と9種類もの木材が使われており、これは当時の財政的事情から地域の人々がそれぞれ木材を持ち寄ったのではないかと考えられているそうです。年月を経て見た目では同じように見えるものの見学者にわかりやすいよう柱に樹種名が表示されていました。また、解体作業中に墨で書かれた落書きや羽子板といった遺物が発見された写真展示を見て当時の人々の暮らしや思いに想像をめぐらしました。
構造的な安全性を高めるため鉄骨による補強も同時に行われており、伝統と現代技術による保存修理が進められていることも印象的でした。
(↑ ヘルメットを被り、見学現場に向かう)
(↑ 大まかな説明を受ける)
(↑ 屋根についての説明を受ける)
(↑ 柱材の材種説明)
2.霊宝殿
本尊の薬師如来坐像をはじめとする24躰の国指定重要文化財が収蔵されています。見学はご住職の般若心経の読経からはじまり、寺院の由来や仏像について丁寧なご説明をいただきました。ご開帳の際にはぜひ訪れてみたいと思いました。
3.旧旅籠柏屋主屋(古民家カフェかしわ屋)
旧中山道沿いに位置する「旧旅籠柏屋」の主屋は令和年7年7月に登録有形文化財として答申されました。現在「古民家カフェかしわ屋」として活用されています。内部は中土間を活かし開放的な造りとなっています。美味しいランチをいただきながら歴史ある空間を堪能しました。
今回の見学を通じて、文化財建造物が持つ歴史的・技術的・文化的価値を体感することができました。貴重な建造物を受け継いでいくことの大切さを実感しました。
(↑ かしわ屋にてランチの様子)
(↑ ランチは魚コースと肉コースの2種類あり内容は変わります。今回は鯖とハンバーグでした)