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平成28年度活動報告

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平成28年度 第26回全国女性建築士連絡協議会(奈良)二日目 分科会の報告

分科会と閉会式会場の「奈良春日野国際フォーラム」の入り口にて集合写真

日時:平成28年7月22日(金)~23日(土)
会場:奈良女子大学 
     (奈良市北魚屋東町)
    奈良春日野国際フォーラム甍
     (奈良県奈良市春日野町101)
参加者:4名

テーマ
未来へつなぐ住居環境づくり
“日本の暮らし 豊かな生活文化の再発見”


 

奈良県女性委員さんが着ているTシャツ

閉会式は能楽ホールで行われました。
その時この二日間で集めた熊本災害義援金を熊本県女性委員へ渡しました。

 

2日目 平成28年7月23日(土) 
 

[分科会]              9:00~11;20    会場:奈良春日野国際フォーラム甍 会議室1~8

・A分科会「防災への取組み」       司会:島田 マリ子(福島)

                     コメンテーター:浦 絵美(神奈川)、東 二郎(神奈川)

・B分科会「エネルギーと暮らし」     司会 筒井 裕子(愛知)

                     コメンテーター:西田 教子(京都)、豊田 保之(京都)

・C分科会「歴史的建造物と建物再生」   司会:本保 万貴子(奈良)

                     コメンテーター:米村 博昭(奈良)

・D分科会「環境共生住宅~住み継ぐ~」  司会:磯中 幸江(山口)

                     コメンテーター:渡辺 陸(岡山)

・E分科会「景観まちづくり」       司会:荒木 由美(長崎)

                     コメンテーター:市川 一絵(石川)

・F分科会「子どもと住環境」       司会:熊谷 友子(岩手)

                     コメンテーター:松本あい子(群馬)永井美代子(群馬)三條秀子(群馬)

・G分科会「高齢社会と福祉住宅」     司会 東 道尾(北海道)

                     コメンテーター:内藤 惠子(愛知)、大前 高志(和歌山)

・H分科会「二地域居住の提案」      司会 鵜沢 香織(千葉)

                     コメンテーター:北村 洋子(長野)

        …… 全体会会場へ移動 ……  11:20~11:45

 [全体会]               11:45~12:20      会場:奈良春日国際フォーラム甍 能楽ホール

・分科会報告(3分×8分科会)              各分科会司会者

・全体総評(3分)                  日本建築士会連合会女性副委員長   本間 恵美

・平成28年度全国女性建築士連絡協議会アピール(3分)日本建築士会連合会女性委員長    永井 香織

・全国大会大分大会参加のご案内(3分)         大分県建築士会

・閉会の辞                       日本建築士会連合会女性副委員長  小野 全子




H28全建女奈良大会アピール.pdf


 

B分科会 「エネルギーと暮らし」

報告者:伊藤麻子

 今一番注目される話題。何かと言えば省エネ、エコ、が大切なコンテンツです。それ自体は大変良いことですが、省エネイコールエコではないし、健康的とか経済的というのとは違うので、なにが本当にいいのかわからなくなりますよね。

 住宅の高断熱高気密は一つの選択肢ですが、答えのすべてではないと思っている私は、昔ながらの快適に暮らす知恵を現在に活かす方法を模索中です。というわけで、迷わずこの分科会に参加しました。

 京都市では、「木の文化を大切にするまち・京都」を推進しており、伝統的な京町屋の知恵と現代の環境技術を融合した京都型の環境配慮住宅「平成の京町屋」を普及、促進しています。今回の分科会では違った2つの発表があり、グループに分かれて意見交換が行われました。

 

発表1:小学生親子のための京町屋体験講座

 京都府建築士会 西田 京子さん

夏暑くて冬が寒い京都で昔から暮らす人たちの快適に住む知恵を体験してもらう講座。打ち水、蚊帳吊、怪談話、冷やしあめで、暑いなりに快適に過ごす知恵を伝える講座で、五感に訴えるプログラムが興味深く、高山の町屋でもぜひ行ってみたい内容でした。

 

発表2:平成の京町屋認定住宅

 京都府建築士会 豊田 保之さん

次世代省エネ基準に適合させた土壁+断熱材の住宅の設計手法を教えていただきました。通風や採光のきめ細かいシュミレーションを行い、中庭、窓の位置を決定するなど、結果を可視化、数値化して評価されたのが驚きでした。ぜひここまでとはいかないかもしれませんが、実践できればと思いました。

 

グループに分かれての意見交換

 全国から集まっているので、6人グループの中は北海道旭川から山口の方までいらっしゃり、南北に長い日本の気候は様々であり、住宅の主に温熱環境だけでも認識の違いがあると言う事を改めて実感しました。


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C分科会 「歴史的建造物と建物再生」の報告
                        
                             報告者:長瀬 八州余

 C分科会は奈良県柏原市の今井町伝統的建造物群保存地区内の伝統的建築物である住まいを改修するにあたって、どのように町家の良さを生かし、弱点を克服してどのように進めていったかを、持ち主であり奈良県建築士会所属の米村博昭氏をコメンテーターに迎えて、奈良県女性委員会委員長の本保万貴子さんが司会で分科会は進められました。
 例年よりも参加申し込み者が多く、71名の参加で、使用した部屋は大きい部屋でした。
 コメンテーターの活動報告は、パワーポイントを使い、今井町の説明から始まりました。平成5年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されましたが、町内での意識統一が大変だったということです。自分の物であっても勝手に触ることができにくくなるので、建物単体よりも保存地区となると住民全体の承認が必要になり、より一層認定までのハードルが高くなると思いました。
 Y家町家は、平成25年(2013年)~平成27年(2015年)に改修作業が成されました。
 改修の考え方として「町家の有している特性を理解し、その良さを維持発展し、一方で不便さを新たな技術でもって解消すること」として、まずは基礎調査として①現状調査②文化財調査・推定復元③所有権及び用途等の変遷調査を行い、改修方針をたて、基本設計を行い、限界耐力計算により不足とされた耐震性向上のために使い勝手を考えて耐力壁を適宜配慮し、省エネルギー化を図るため、屋根、天井、壁及び開口部を省エネルギー基準に基づいて施工する事となりました。床暖房を採用し、高性能グラスウールを使用し、開口部は複層ガラスサッシを使い現代の進んだ技術を取り入れました。外観は町並みに融合するように配慮しつつ、現代の技術により遮断熱性・気密性を向上させるよう省エネルギー改修が成されたわけです。施工後一年間の温湿度測定を行い、その結果穏やかな温度変化と高い調湿性が確認されたとのことでした。
 伝統技術の継承として、柱脚部の虫食い等で腐朽の著しい部分は「根接ぎ」を行い新しい材料と交換したり、改修前には破損してサイディングや波板で隠されていた「虫籠窓」を復元したり、「三和土土間」の施工時には建築を学ぶ大学生を対象にした施工体験会を実施して継承がされる工夫もされたようです。
 今井町伝統的建造物群保存地区、そして奈良県内の歴史的町並み地区における町家が次の世代に継承されるためには、伝統的構法を広げる社会システムの構築が必要と考える人達の集まりができ「奈良の町家を考える会」ができ、施工業者は、今井町区域の歴史的町並みの質の向上を図るために「今井町区域街まみ環境整備協議会」を組織しています。地域全体で力を合わせようとしている事がうかがえました。
 活動報告後、質疑応答と意見交換が行われました。
一番苦労された点はなんですかという質問に、奈良県の特殊事情なのですが、県下にはもっと古物が多いので、100年200年の物には目がいかない。新しい、古いの目線が他県と違うので保存しなくてはと思っても、もっと古物に目がいってしまう。しかし良い点は、保存技術を持った職人が身近におり、素材も良い物があるので、話は早いです。
 今回の費用はどれくらいかとの質問には、約3,000万円かかり、そのうち補助金は500万円でその他の補助金で80万円ほどありましたとのことです。
 意見交換では、大阪建築士会の方の発言で、残して欲しい建物にていして、押しかけ見学会を開き、オーナーにその建物の価値を知ってもらい、できるだけ保存してもらう方向で検討してもらうように相談等にのるという活動をしているということでした。おもしろアプローチだと思いました。
 他にもいろいろありましたが、地域のコミュニケィーとの関係もあるのですが、これからは空き家対策をどうするのかが新しい問題になってきているということでした。お金の問題は昔からありましたが、さらに今、空き家対策の税金問題が出てきています。
 各地域で皆さん頑張って活動している事を知ることができ、新しい見方を発見した分科会でした。

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(C分科会の様子)

 

E分科会  「景観まちづくり」の報告 

             報告者:高野 栄子

 2日はE分会に参加しました。テーマは「景観まちづくり」です。この分会会に参加するのは3回目ですが、毎回日本全国でさまざまな活動を報告されます。今回は石川県の七尾市で子ども達に町を知ってもらうことを目的とした活動を紹介されました。

石川県建築士会の市川さんが発表されました。発表のあと参加者が各自意見交換を行い中身の濃い充実した分会でした。

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(E分科会の様子)





G分科会 「高齢社会と福祉住宅」の報告

報告者:下川滝美

 

「高齢社会と福祉住宅」この分科会に参加して何年経つでしょうか?メンバーも常連さんが多くまるで同窓会ですね。と声をかけあうようになりました。

今年のコメンテーターは愛知県の内藤さんと和歌山県の大前さんです。認知症高齢者、高次脳機能障害の方の住まいの改修についての報告です。

認知症の方が住宅改修をすることで今までできなかったことが出来るようになった。生きがいを取り戻すことができた。

家族に支えられ地域で暮らすことの大切さを住環境の力で叶えることができる素晴らしい発表でした。本人や家族に寄り添い設計する姿勢の大切さを感じました。

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(G分科会の様子)