岐阜県建築士会 女性委員会

公益社団法人岐阜県建築士会 女性委員会
岐阜県建築士会公式HPはこちら

令和7年度(2025)活動報告

HOME令和7年度(2025)活動報告東海北陸ブロック 後期 いが大会 その2 分科会報告

東海北陸ブロック 後期 いが大会 その2 分科会報告

分科会①の見学の様子

 

建築士会 東海北陸ブロック会 女性建築士協議会

  令和7年度ブロックいが大会


【大会1日目】 令和8年2月21日(土)
 

分科会① 旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE 伊賀市担当者より説明 施設見学

 

分科会② 3班に分かれて城下町散策(ボランティアガイド)

 A 指定文化財コース

   入交家住宅(入館)~旧北泉家住宅(外観のみ)~旧崇廣堂(入館)

 B 俳聖 芭蕉コース

   芭蕉翁記念館(入館)~芭蕉翁生家(入館)~故郷塚(愛染院)(入場)

 C 忍者博物館・上野城コース

   伊賀上野城(入城)~俳聖殿(外観のみ)~伊賀忍者博物館(入館)
  岐阜県からの参加者は、AとBの2コースのみでCコース参加者はいませんでした。

 


分科会①

旧上野市庁舎「SAKAKURA BASE」

 

見学会

報告者:桂川麻里

 

場所 :旧上野市庁舎「SAKAKURABASE」

出席者:岐阜県から7名 総数:44名

 

 
(↑ 外観写真)              

 


(↑ 入り口正面にて 忍々ポーズで集合写真)

 

 旧上野市庁舎は1964年12月10日に竣工した地上2階(中2階含む)、地下1階の鉄筋コンクリート造で、建築家坂倉順三氏が設計した建物です。

その建物が「SAKAKURA BASE」として生まれ変わりました。坂倉順三氏の手掛けた岐阜の羽島市役所は残念ながら取り壊されてしまいましたが、ここは2階がホテル、1階は図書館として利用されます。図書館は令和8年4月1日からオープンするのでまだ準備をされている途中でしたが、1階部分もホテルレセプションの部分と観光案内所、土産物店、カフェはオープンしていました。

 

 
(↑ 上野西小学校多目的ホールにて説明を聞く )

 


(↑ 壁は当時のままの客室前廊下)

 

 分科会①は最初は上野小学校多目的ホールにて伊賀市の担当者の方に市役所の竣工当時の話や「SAKAKURA BASE」になるまでのお話をお聞きし、現在建物は伊賀市指定有形文化財に指定されていますが、当時の図面も残っており、図面の一部も附けたりとして指定されているそうです。

 お話を聞いた後、「SAKAKURA BASE」に移動し、2班に分かれて見学しました。私たちの班は内部からの見学で最初は2階のホテル部分へ行きました。照明などの配線などの関係で天井は少し低くなっているそうですが、廊下から見える壁は当時のままだそうです。当時の執務室の大きさでそのまま客室としているため、市長室などはスイートルームになっているそうで、部屋番号は他のホテルと同じように数字が割り振られていましたが、内部に入ると社長室等名前が残っているそうです。

 

 
(↑ 旧議場を学習スペースへ )
 



(↑ 準備中の図書館)

 

 その後、準備中の図書館スペースを見学しました。2階にあった議場の跡は学習スペースになるそうです。1階や中2階の床はモザイクタイルで元々敷き詰められていたそうですが、悪くなった部分や、配管のため床上げをした部分は全て貼り替えたそうです。雨漏りがしていて閉じられていた天窓も補修して利用できるようにしたそうで、電気がついていなくても明るく感じました。

 

 
(↑ 煙突の補強 )
 



(↑ 外部の見た目はそのままの補強箇所)

 

耐震補強については外観から見える部分ではなく内部の壁で賄っているそうで、模様としてわざと残されていた型枠の跡も当時のまま残すように全部内部で耐震補強してあるそうです。船舶をイメージした煙突部分は下部をコンクリートで補強してあり、ホテルの廊下からは写真のように見えてしまいますが、外からは分からないように補強されていました。

 

 建物を残すためには利活用が重要になりますが、坂倉順三氏の良さをそのまま残したこの活用方法はとても良いと感じました。見学できてとても勉強になりましたし、良かったです。


 

分科会➁ Aコース「指定文化財コース」

報告者:田中 佐企

●国史跡 旧崇広堂

崇広堂は、1821年に藩校として建てられた建物です。
かつて学びの場であった講堂は表庭に面した天井の高い部屋で、拝観の際はひな人形が飾られていました。



 

中庭を挟んで控室として使われていた部屋は位により仕様が区別されており、竿天井の板幅などに表れていました。(位が高い部屋ほど板幅が広く、使用人室や台所は竹小舞風)

 

●県指定文化財 入交家住宅

170万石の藩主として幕末まで続いた入交家住宅は平成13年に市が公有化されたそうですが、江戸時代からの武家屋敷を大きく改造することなく、平成の時代まで脈々と受け継がれてきた御子息たちの熱い思いに頭が下がります。
主屋の茅葺屋根は昨年葺き替えられたばかりだそうで、大変美しい姿でした。

 

 

●北泉家住宅ほか

北泉家住宅は今回工事中のため足場が設置されており拝観することはできませんでしたが、500m強四方の範囲を散策する中に10以上の文化財が点在することに驚きました。
普段、歴史的な建造物をいともたやすく解体してしまう場面に接していると、伊賀市は戦災を受けなかったとはいえ、先人たちの文化を継承していく意識の醸成が市長のみならず市民の中にもなされていることに深く心を打たれました。

 


(第三尋常中学校校舎付正門) 

 


 (星家住宅主屋)    

 


(上野文化センター)


 

 分科会② Bコース 「俳聖 芭蕉コース」

報告者:髙野 栄子

 

1.見学場所

・芭蕉翁記念館

・芭蕉翁生家

・故郷塚

 

2.見学の目的

伊賀市出身の俳人、松尾芭蕉の足跡をたどりながら、地域の歴史や文化と建築とのつながりを感じ、保存と活用のあり方について学ぶことを目的に見学を行いました。松尾芭蕉は「奥の細道」の最後を岐阜県の大垣市で迎えており、私にとっても身近な存在でありより深く知りたいと思いました。

 

3.見学を通して感じたこと

芭蕉翁記念館では、落ち着いた雰囲気の中で展示が工夫されており、建物が主張しすぎることなく、芭蕉の世界観を大切にしていることが伝わってきました。やわらかな光の入り方や、ゆったりとした動線計画も印象的でした。

芭蕉翁生家では、町家の素朴な佇まいに心が和みました。土間や座敷の構成から当時の暮らしを想像することができ、簡素でありながら温かみのある空間に、芭蕉の精神と重なるものを感じました。芭蕉の兄が芭蕉の為に作ったとされる書斎は、茶室ではないけれど「わびさび」を感じる粋な建物でした。

故郷塚では、静かな空気に包まれた空間づくりが心に残りました。華美ではなく、自然と調和した佇まいは、記念の場としてふさわしい穏やかさを感じさせてくれました。

 

4.まとめ

今回の見学を通して、建築は単なる「形」ではなく、その土地の歴史や人の思いを包み込む存在であることをあらためて実感しました。

 


(↑ 芭蕉翁記念館)


 
(↑ 芭蕉翁生家)             (↑ 芭蕉翁生家)