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令和4年度(2022)活動報告

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令和4年度 第31回全国女性建築士連絡協議会 その2 活動報告、被災地報告、基調講演

会場のシステムの様子



★令和4年度 第31回全国女性建築士連絡協議会(東京)
日時:令和4年7月17日(日)~18日(月 海の日)
会場:日本建築学会建築会館とZOOm
    東京都港区港区芝5丁目26ば番20号
参加者:約300名
    (岐阜県から 対面4名、リモート2名)
テーマ:「未来へつつなぐ居住環境づくり」~これからの快適な健康な住まい~




活動報告(愛知県・奈良県・大阪府)の報告

報告者:桂川麻里

 

愛知県の「わたしらしい住まいづくり」、奈良県の「大和郡山城下町歴史的建造物を活かしたまちづくり」、大阪府の「大阪市高齢者住宅改修費給費事業審査業務について」の報告を聞きました。

私が愛知県の活動を知ったのは第27回の回に出席させて頂いた時です。講習とパネル展示を見て、この活動を27年も続けてきてすごいなと思ったことを覚えています。今回立ち上げから30年という節目で幕を下ろしたことまでを報告して頂きました。住まいの無料相談会やミニセミナー、ワークショップ形式を取り入れる等、同じことの繰り返しではなく順番により良くしようと色々な方法を試してきたことが分かりました。また、日々の生活に追われ忘れがちな時代の流れをいち早く察知しそれをテーマに住まいづくりに取り入れて、でも女性目線を忘れない、とても良い活動だったと思いました。

奈良県の大和郡山は行ってみたいところの一つです。私のイメージでは奈良県民は歴史的建造物に対しての価値を分かっていると思っていましたが、やはりどの県とも同じで失われていく建物がたくさんあったのだと知らされました。町家所有者に地道に聞き取り調査をしたり、建築士会員以外の関心のある学生グループ、観光ボランティア、市役所職員と協力したりして町屋や空き家の活用の幕が開いたということで、本当に細かく地道な努力が必要だと思いました。私自身もヘリテージマネージャーの養成講座を受けている途中ですが、保存が大事だと思っていたので、活用が出来なければなかなか維持が出来ないと教わって、大和郡山のお話を聞いて本当にそうだと実感しました。今までの旅行とは違った視点で大和郡山に旅行に行けたらと思います。

大阪府のお話は、私としましてはとても興味深い内容でした。岐阜県では「介護保険適正化支援業務」を2つの広域連合と岐阜県建築士会として業務提携しています。そのチェックだけでも大変ですが、それを「介護保険」、「大阪市高齢者住宅改修費給付事業」「自費」の3つの項目について審査をするというのはとても大変なことだと思いました。ただしそれが大阪市からの要請で入札してというのはボランティア的なことにはならないのだとうらやましくもあります。また、大阪市は、建築士が必要と思っていてくれていることがとてもすばらしいことだと思いました。書類の不備で多いのはというところでは、岐阜県で行っている中で出てくる申請書の内容の不備と同じでした。もしかして全国的にこのような状態なら、介護保険等とても無駄なお金が使われているのでは?と心配にもなりました。個人的にはもっと色々な内容をお聞きしたかったです。

3府県ともとても興味のある内容ばかりで、短時間の報告ではもったいないような内容でした。




 

被災地報告(岩手県)の報告

報告者:桂川麻里

 

岩手県建築士会の「東日本大震災の体験談~陸前高田市~から考える防災について」の報告を聞きました。

今まで私が聞いたことのある被災地報告は被災後の現在や復興の内容でしたが、今回は体験談から考えるということで、体験のない私はとても興味深く聞かせて頂きました。

岩手県の建築士会会員の中でも内陸の方がほとんどで、実際に体験した方は少ないそうで、勉強会として実際に体験された高校の教員であった方のお話を聞いて勉強されたそうです。

地震発生時の様子から一次避難の様子までを写真と共にお聞きし、「地震発生時から 生徒の避難行動のパターン」をお聞きしました。本当に少しのことで生死を分けたことには残念でなりませんが、岐阜県は海なし県なので私もその場にいれば巻き込まれていたひとりとなっていたかもと思いました。

まとめでは「ここ10年、震災の話を学校内ですることがほとんどない」ということだそうですが、この全建女で被災地報告を聞いてなければ私も震災の内容はほとんど勉強することはありません。これからも続けて欲しいと思いました。


 

基調講演 報告

 

                                報告者 岡田 利里

テーマ:これからの快適で健康な住まい

講 師:早稲田大学創造理工学部建築学科 教授 田辺 新一氏

 

 

3年前に、建築物省エネ法の改正(300㎡以上の非住宅建築物のみが適合義務で、300㎡以上の住宅は届出義務、300㎡未満の非住宅、住宅は努力義務となる)の講習会を受けたばかりなのですが、また先月、改正建築物省エネ法が成立しました。

菅前首相が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明してから、

法律も、人々の意識も、どんどん変わってきているように思います。

今年度の全建女で基調講演をされた田辺先生は、「衆議院経済産業委員会の省エネ法関連法案審議」に参加され、今回の省エネ法の抜本的な改正に携わられたり、WHOにCOVIT-19の空気感染の可能性に関する公開書簡を提出した36名の科学者の一人であられる方です。

盛りだくさんのお話しの中から、理解できた範囲でいくつかを挙げます。

 

・日本の二酸化炭素排出量のうち、30%が住宅・建築分野から出ています。自動車もEV化が進んでいますが、二酸化炭素排出量に占める割合は16%であることから、車よりも貢献できるのが建築である。

・太陽光パネルを作った時に出るCO2は、設置後2年程度で回収できるので、光熱費も上がっている今、できるだけ付ける方が良い。

・付加断熱が必要となるHEAT20のG3まではしないとしても、UA値0.87以下を目指した方が良い。

・温室効果ガスの吸収源対策の強化という面でも、木材は有効で、建築物の木質化も重要。

 

一日の大半を過ごす建物の性能は、人間の健康にも、地球規模の環境にも大きく関与するものだと思います。建築に携わる私たちが、普段の設計などで社会貢献していければよいと感じました。

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(↑会場の様子)