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平成28年度活動報告第59回全国大会大分大会

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第59回建築士会全国大会「大分大会」 1日目その2 セッション報告

福祉まちづくり部会 発表の様子



第59回建築士会全国大会 「大分大会」
日 時:平成28年10月22日(土) 23日(日)
会 場:別府国際コンベンションサンター ビーコンプラザ
     (大分県別府市山の手町12-1)
    別府市公会堂
     (大分県別府市上田の湯町6-37)
テーマ「ひとづくり」「ものづくり」「まちづくり」で地域の創生
    おんせん県おおいたで湧き上がる多様な知恵
参加者:4名

【セッション報告】
・第4回ヘリテージマネージャ大会
・和室についての報告(女性委員会)
・福祉まちづくり部会
・建築相談本部会
・環境部会活動報告と今後の展開
・記念講演



 

記念講演の様子


 

・第4回全国ヘリテージマネージャー大会
    
                
                                  報告者:小林教子



(会場の様子)
 

テーマ「熊本地震による歴史的建造物の被災状況と今後の対応」    

趣旨  平成28年4月14日(前震)と16日(本震)の熊本地震による歴史的建造物の被災への対応は、行政による被災建築物応急危険度判定、被災宅地危険度調査、家屋被災認定調査などの調査、文化庁による文化財ドクター調査が進められる中、ヘリテージマネージャーはどのように活動をしたのか。そして、復旧・復興への道のりはどのようなものか、被災の状況を直視し、今後どこにでも起こりうる災害に対して、ヘリテージマネージャーの事前・事後の対応について見つめ、考える。

事例報告

  • 大分県の歴史的建造物の活用推進と地震対応  日出町的山荘の改修事例と別府市における地震被害建築相談
  • 熊本地震による歴史的建造物の状況と対応
  • 九州ブロック連携協定に基づく被災歴史的建造物調査の実際と展望
  • デジタルマップを活用した被災状況模擬調査

 

現在ヘリテージマネージャーは全国47都道府県中40県にて活躍中。隣県の資格取得については検討課題である。

文化財指定されていない無指定の一般建造物についての修理は、復興基金を利用することができる。また、中小企業支援制度は中小企業所有の施設(酒屋などの建物)には利用できる。

今回の会場別府公会堂は熊本大震災前に改修されており、耐震改修(RC補強壁、S補強)

天井改修(漆喰天井改修)、バリアフリー改修により無事。

      

 

しかし、未指定の歴史的建造物は「文化財である」建造物としての価値づけをする必要があり、それには対象となる建造物の確実な把握、行政と所有者との信頼、復旧への的確の助言、他の支援組織との連携協力が重要。早急な対応ができないと、震災により被害を受けた歴史的建造物は消滅してしまう可能性が高い。

 

九州ブロックは連携協定に基づいて、熊本地震時の被災歴史的建造物の調査が行われた。応援体制をもとに柔軟に対応、行政は災害対応ですぐには動けないので模擬訓練や、事前のリストアップ化やネットワーク化によりすぐに対応ができた。

ただし、人が動くときの金銭的バックアップが課題。

国交省(住宅)と文化庁(文化財)のはざまにある建造物は歴史街づくり行政で拾っていくべき。

 

まとめ

人とネットワークとリストが災害対応時重要。

今後それらの使い方、広域連携の進め方が課題である。


(会場の別府市公会堂)



セッション:和室についての報告(女性委員会)
             
                        報告者:桂川麻里
 「和室の魅力を次世代に引き継ぐ」
  連合会女性委員会

午前中は和室のある住宅を建てたいという思いはありますが、なかなか思うようにいかず、何かヒントが欲しくてこのセッションに参加しました。
今年の全国女性建築士連絡協議会(奈良)で協議した結果等を踏まえて、全国大会のキーワードである地域の創成をベースにした「日本の暮らしのあり方」の取組を聞きました。
奈良での基調講演と和室についてのアンケートの結果の報告を受け、奈良県・富山県・東京建築士会のパネリストの方のディスカッションという流れで進んでいきました。
基調講演の報告では、和室建築から継承すべきポイントとして、①ビルトインの知恵 ②建具の開閉による空間の文化 ③畳の感触(世界一の敷物) ④縁側 ⑤木造の伝統建築 の5つを挙げていました。
これに関してはきれいにまとめられていて今後活かせると思いましたが、次のアンケートの結果で「和室=畳」というイメージが建築業界の中でも蔓延していると知り、本当に和室の文化が廃れていっているのだと実感しました。
その後のパネリストの方々に伝統的和室の解説と地域性を活かした和室の住まいの継承の仕方、現代風にアレンジしたモダン和室の可能性のお話をして頂きました。
地域性を活かした住まいのお話では、建替えや改修をしても外観や全体のプランはそのままで、共通していることは「アズマダチ」の精神を引継ぎ、明るく風通しがよく、2間続きを残しているということで、建築に携わる人ではなくその地域の人々が利便性だけをとるのではなく地域性のことも考えていることにすごいことだと思いました。
最後は、伝統的和室における魅力、地域性を活かした住まいから得られる知恵や工夫、次世代に引き継ぐべき和室の魅力と日本の暮らしのあり方という内容でディスカッションして頂きました。
その中で、境界の曖昧さ(内と外:外→内→坪庭(外)→内→外)が和の魅力という言葉が印象に残りました。
途中全国の建築士会員の和の使い方の事例の写真を見せて頂きましたが、今現在の私の地域的な和の住宅にしか触れていなかったですが、色々な可能性があることを学ばせて頂きました。
方向性が曖昧ななかで仕事をしてきましたが、次の仕事では『次世代に引き継ぐ』という観点から設計を進めたいと思いました。

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連合会 福祉まちづくり部会 セッションに参加して

報告者:下川 滝美

 

“「福まち部会」の発足にむけて その方向性を探る”

と題して「福まち部会セッション」が開催されました。私は奈良の全建女の時に事例の発表をお願いされたということをすっかり忘れていたのですが、事前準備はひと月半前から始まりました。今回は平成27年10月に基本的方向が了承されこの大分大会で設立に向けた宣言をしたいとうことで準備を進めていたのですが、各県の温度差や活動の違い、NPO法人との兼ね合いなどから設立宣言までは至りませんでした。

それでも今回活動の報告をされた島根県、宮城県、長崎県、東京の建築士会の方の報告をお聞きして建築士としての知識を生かし、地域で福祉のまちづくり活動を取り組んでいる仲間がいることを嬉しく思いました。

私の報告は「岐阜県の高齢者等の住まいに関する相談窓口と研修の現状」ということで他の方とは違った発表となったのですがこれからの地域包括ケアシステムに置いて建築士がどのように在宅で暮らす方の力になれるかという流れを説明させてもらいました。

理想の形なのですが岐阜県モデルとして進めていけたらと思います。

発表の中でもお話させてもらったのですが福祉まちづくり活動としてやっていきたいこととして①やさしいまちづくり②やさしい住まいづくり③やさしい人づくりだと思います。

若い方に興味を持っていただき福祉まちづくりが建築士として当たり前の技術の一つになったらいいなという思いで今後も活動をしていきたいと思います。


(パネラーの下川さん挨拶)


環境部会活動報告と今後の展開
 
                                報告者:桂川麻里

 「気候風土型住宅・省エネガイドラインについて考える」
  連合会環境部会

午後からは、2020年問題による省エネ講習を2013年から年何回か受けてきて省エネ住宅の重要性は理解していますが、構造もそうですが伝統的木造住宅の良さを無視したもので納得いってないところもあったので、「地域型」という言葉に惹かれてこのセッションに参加しました。
意図はしていませんでしたが、午前中の「和室についての報告」ともリンクしている内容で、和室、省エネ等と個々で考えていくだけでなく、連携していったらより良い判断が出来るのではないかと思いました。
まず報告として、国土交通省の方から「住宅の省エネ施策の最近の動向~気候風土適応住宅の認定など」をお聞きしました。
国の方の考えの中にも、今後の検討課題として伝統的木造住宅の取扱いを検討されていくこと、気候風土認定住宅に対する省エネ基準の緩和されていくことで、少し安心しました。
次は熊本県建築士会の方から「熊本県における気候風土適応住宅に向けて」という内容で報告を受けました。
こちらでも、2020年問題によって伝統的住宅での問題点など、地域性のある風景が失われ、景観が変わっていくのは違うのでないかということで、士会全体で地域型住宅を考えるセミナー等を開催し、対処方法を考えていく取組をしているそうです。
しかし、熊本地震の影響で県との話し合いが進まない状態だが、地域の為に実務者自身がガイドライン実施案を作成していく方針だそうです。岐阜県では高山市では進めているらしいですが、気候風土型住宅についても知らなかったのは勉強不足なんだと実感しました。
その次は京都府では「平成の京町屋」ということで、独自に認定をし補助を出しているそうです。
国の考えている気候風土型住宅に近い形ということで、今後、京都府や熊本県のような取組を参考に各都道府県でも取組んでいく予定だそうです。
今後、認定基準を早めにしっかりしていくことが重要で、その中でも審査しやすい事、裏道として使われないように進めて行くそうです。
このセッションに参加した人には「気候風土型住宅の認定のガイドライン・同解説」を一式頂きましたが、HPでも検索すればダウンロードできるそうです。
和室もそうですが、省エネ基準によって、伝統的な住宅の良さがなくならないようになると良いなと思いました。

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建築相談本部

                          報告者:小林教子

建築相談本部会のテーマ

  • 建築士会の地域貢献と社会の役立つ建築士の存在をアピールする
  • 建築界の信頼を取り戻す原動力とする
  • 全国の建築士会の建築相談を活性化する
  • 建築相談の体制づくり
  • 建築相談を担当する相談員の研修
  • 基調講演「建築士会の建築相談のあり方」

「建築士会における建築相談の普及ガイドブック 2016年度版」をもとに解説。

公的な建築紛争処理機関の紹介

・建築審査会(許可・不服当)

・建築工事紛争審査会(工事請負契約上の紛争)

・弁護士会・紛争解決センター(弁護士会で実施している裁判外の紛争解決機関)

・裁判所・民事訴訟

・裁判所・民事調停

建築相談に関する活動紹介

面接相談の方法

建築瑕疵の法律問題

裁判所・瑕疵一覧表

 

  • パネルディスカッション「面接相談と裁判所の建築調停」

テーマ(A)

1.建築士会における建築相談体制づくり

・東京建築士会…相談員23名 原則電話相談 常に意見交換研修し、情報の蓄積を行う。 

顧問弁護士2名、相談員が直接電話し助言をもらう体制。専門分野を超えた相談を受けない。(どこへ相談するか紹介窓口の把握)トラブル相談は相談者の納得の得られる回答をする、または困った相談者のあしらい方を習得する。一般相談は知識のレクチャーを行う。現地相談はあくまでも相談とし、報告書なしで、断定は避ける

・大阪府建築士会…相談員50名 原則電話相談。現地相談は有料(55000円/日、33000円

/半日)2人一 組、口頭での相談のみ。弁護士会と連携、セミナーを行う。

・弁護士より…相談を受ける側のテクニック、研修・民法の習得必要。不法行為、個人情報管理、守秘義務等のポイントあり。非弁行為(弁護士法に触れる行為)を行わない。

 

2.建築トラブルの予防

・トラブルにならないために

・建築士がトラブルに巻き込まれないために

  建築士会会員向けサービス

テーマ(B)

1・建築調停の瑕疵一覧表、追加工事一覧表

2.建築トラブル相談


(発表の様子)

 

大分全国大会 記念講演を聞いて

 

報告者:長瀬八州余

 

演題:どうしたらもっとしあわせになれるか、それを考えるのがデザイン

講師:河北 秀也氏 iichikoアートディレクター

   西 太一郎氏 「本格焼酎いいちこ」醸造元、三和酒類(株)取締役名誉会長

 

 午後1時よりビーコンプラザ内のフィルハーモニアホールにて、記念講演がありました。

最初に河北氏の話があり、その後西氏の話でした。

 今回、受付を済ませていつものようにパンフレット等の入っている袋をいただきましたが、その中に立派な写真集が入っていました。タイトルは「iichiko design 2017」で、「いいちこ」が今までメデアに出していた全ての物の写真集でした。(映像も写真です)オールカラーで1.3キログラムの重量です。
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(写真集 表紙と開いて中の写真)

 

 河北氏は福岡県久留米市出身で、三和酒類(株)が小さい地方の醸造メーカーの時にデザインを頼まれて、その時にデザインの下請けではなく対等の立場で仕事をやらしてもらうと条件で仕事を受け、今にいたるということでした。

 ポスターは毎月発行しクリスマスバージョンもあるので年間13枚のポスターを作っているということです。美しい日本の風景を求めて、全て外国で写真を撮っているということでした。今の日本は余計な物が有り過ぎて、ゴミだめになっているので、日本人が頭の中で描いている日本の美しい風景は海外でないと撮れなくなっているということでした。

 デザインの概念も、日本は産業重点国家を作ろうとして、産業が中心になっていて、デザインといえば色や形の事になるが、ヨーロッパでは人が幸せな国家を作ろうとして、人間中心からの発想で、デザインは生活や暮らしの事になる。日本にはデザイン教育がない。1986年から文化科学誌『季刊iichiko』という文化誌を発行しているということです。

 

 西氏の話は河北氏を迎えて、クライアントとデザイナーが同じ立場に立って、事業を進めてきた事を話されました。

 最初に河北さんにライバルはどこですかと聞かれ、大手のビール会社や洋酒会社かと思いましたが、河北さんは、ベンツ、BMW、トヨタだとおっしゃった。理由は、車の運転をしている間は「いいちこ」を飲むことができない。これから時間の取り合いのビジネスをしていきましょうと提案されました。

 我が社では毎朝、社員一同が「品質第一。安全運転」と唱和しますが、品質第一とは素材にこだわり、素材の良さを引き出し、期日にこだわり、作り手のイメージにこだわる事だと思っています。作り手の誠実さのイメージが大事なのだと思っています。

 それから、河北さんには焼酎のイメージを高めていただきました。そしてブランドはお客様が作ってくださるのです。

 売ってくれる人がいて、買ってくれる人がいるから物が売れるのです。今、私は一営業マンとして全国を駆け回っていますと話されました。

 

 お二人のお話を聞いて、お互いの信頼関係が築かれているので、『iichiko』のイメージがぶれないのだと思いました。

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(河北氏の講演の様子)

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(西氏の講演の様子)