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2015年度

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「大阪木材仲買木材会館」と「鴻池新田会所」 見学会

3月19日、大阪木材仲買会館と鴻池新田会所の見学に行ってきました。岐阜を出発する時には、雨が降っていましたが、大阪に着くころには、雨も上がり傘なしで歩くことができました。大阪仲買木材会館は、日本最大の仲買協同組合である、大阪仲買協同組合の事務局がある、事務所ビルですので、土日は休館なのですが、事前に連絡があった場合には見学が可能で、見学者が建築関係の人の場合、設計と施工を担当した、竹中工務店の方が説明して下さるということです。建物は、3階建てで、1階が地震が起きたときの、津波対策のためRC造、2階、3階が木造です。また、耐力の確保と、防火対策のため一部RC壁が設置されています。建物は、以前から植えられていた2本の桜を包み込むように、緩く弧を描いており、花の咲く頃には地域の人たちも、2階のテラスで夜桜を楽しんでいるそうです。
建物の2階に、協同組合の事務局と理事長室、3階には会議室が2部屋配置され、私たちは大会議室で、竹中工務店の方から説明を受けました。この建物は、木造の耐火建築物ということで注目されていますが、それ以外にも内装を不燃加工をしていない木材を使用しているということも、特徴となっています。そのために、火災時の安全性については、実物大の燃焼試験を行って、避難安全検証のルートCを取得した、ということでした。また、外部の木製建具は、2枚のガラスの間に木材を薄く削ったものを挟み込んで、日除けとしたり、階段ホールには、全国各地から集めた、銘木の板をはめ込んだ格子が配置されたりと、「木の見せ方」に工夫が凝らされていました。
大阪木材仲買会館の次に鴻池新田会所を見学しました。敷地内には、いくつかの建物がありましたが、その内に1つの建物の中で、ビデオによる「鴻池新田会所」の説明が敷地内には、いくつかの建物がありましたが、その内の1つの建物の中で、ビデオによる「鴻池新田会所」の説明が上映されていました。それによると、豪商である鴻池善右衛門が開発した新田(約119ヘクタール)の管理運営のために建てられたのが「会所」という建物で、一番大きな「本屋」の床面積は、約600㎡あります。内部は、開放的に造られており、棟木は樹齢400年の松が使われています。柱のところどころは、埋め木が施されており、途中で継がれている柱も数多く見られ、修理しながら長い間使われてきた、と思われます。敷地内には、船着き場の跡もあり、現在は、道路になっていますが、当時は塀のすぐ外まで川だったことの証が残されていました。今回の見学会は、最先端の耐火木造建築物と伝統的建築物という、正反対の建物を対比させることができました。どちらも、「木」の長所と短所を十分理解した上で、長所を生かし、短所については、将来に渡って対応できるよう造られており、建築に携わった人たちの「木で建物を作ること」の思いを感じることができました。
 
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